海賊グチョッパーの宝2016(H28)



 平成28年度清瀬市立清瀬第七小学校けやき・ひのき学級(特別支援学級)での実践

 平成16年に書き下ろした学芸会用シナリオ。平成25年に再演を果たし、今回で3回目の公演になる。2年前の本学級の実態からするとこのシナリオは難易度が高すぎ、新たなシナリオの創作を余儀なくされた。あれから2年が経ち、またもや学芸会の劇指導の担当が回ってきた。課題はまだまだ多く、とても落ち着いているとはいえない学級の実態ではあるが、様々な要素を考慮し再演可能と判断し、3年ぶりにストーリーを大幅にリニューアルして取り組むこととなった。
 大きな変更点としては、以下の3点ある。1点目は、ストーリーテーマを、軽快なコメディタッチの冒険物から、仲間のために危険を顧みず戦う友情冒険物に変更した。前作での冒険の目的は「怖いもの知らずを証明するため」であった。しかし、今回は「不治の病の仲間を救うため」にすることで、冒険の目的がより明確になり厚みのあるものにした。その流れを受けて、2点目の変更点は、最後の落ちを、金貨に隠された海賊ジャンケンの掟「さいしょはグー」から、金貨・宝石・無敵の剣・黄金の壺・万能薬の中から、仲間の不治の病を治すための万能薬を選ぶという設定にした。ケキヤノヒにたどり着いた子ども海賊の前には目のくらむようなお宝が広がる。一瞬欲に支配されそうになる子ども海賊の葛藤を描きつつも、やはり仲間のために万能薬を選ぶシーンを作ることで、仲間を思う気持ちの強さを表現した。3点目は、エンディングの歌の歌詞を、ストーリーに沿うように一部修正した。前作よりも重めの展開となったので、エンディングの歌を歌うときの振り付けはなしにして、より言葉をはっきり伝えられるように指導をした。
 学芸会本番の児童鑑賞日は、子ども達の最高のパフォーマンスを披露することができた。保護者鑑賞日は、舞台上で固まってしまう児童がでるというハプニングがあったが、そうした状況であっても、その他の子ども達は練習通りの演技を最後までやり続けることができたことは、仲間をフォローする意識が子ども達全員に育っていたのではないかと思った。
 2年前では取り組めなかった劇にチャレンジし、劇としてそれなりにまとめることができたことは、とても感慨深いものがある。
 劇の物語の原作、脚本、監督、キャラクターデザイン、電子紙芝居、大道具デザイン・作成、挿入曲の選曲、テーマ曲の作詞作曲の全ては、イトケン太ロウの創作によるもの。


オリジナルシナリオ(PDF)